キリエ、グロリア、クレド、サンクトゥス、ベネディクトゥス、およびアニュス・デイはどのミサでも同じテキストを使用するところから、「通常文」と呼ばれる。
キリエ(憐れみの賛歌)は「キリエ・エレイソン」(主よ、憐れみたまえ)の三唱、「クリステ・エレイソン」(キリストよ、憐れみたまえ)の三唱、再度「キリエ・エレイソン」の三唱からなる。古い聖歌では、「キリエ・エレイソン・イマス」("Kyrie eleison imas" 主よ、我らを憐れみたまえ)の形も見られる。キリエはラテン語ではなくヘレニズム・ギリシャ語を用いている点が特徴的である。テキストの繰り返しの構造を反映して、音楽的にも繰り返し構造を用いるものが多い。下に掲げるカンブレ写本に収められている Kyrie ad. lib. VI は、 ABA CDC EFE' の構造をもち、セクションごとにテッシトゥーラが移動している。最後の「キリエ・エレイソン」にあたる E' の部分は、それ自体が aa'b の構造を持ち、クライマックスを作り出している
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グロリア(栄光の賛歌)は大栄頌を唱えるもので、クレド(信条告白)はニカイア信条を唱えるものである。これらの典礼文は長いため、聖歌もしばしばテキストの切れ目に対応した節構造をもっている。また、クレドは後代にミサに追加された典礼文であるために、グレゴリオ聖歌に含まれる曲数が比較的少ない。
サンクトゥス(聖なるかな)とアニュス・デイ(神の子羊)は、キリエと同様、典礼文に繰り返しが多く、音楽的にも繰り返し構造をとるものが多い。
厳密には、ミサの散会を告げるイテ・ミサ・エスト(行け、解散する)とベネディカムス・ドミノ(神を讃えよう)も通常文に含まれ、それぞれグレゴリオ聖歌もあるが、短く、簡潔なために、後代には作曲の対象となることは稀であり、研究の対象からも除外されることが多い。